心地よさは、家の中から。北欧の暮らしが教えてくれたこと

2025.12.20 心地よい暮らし

北欧でお宅を訪問すると、いつも「家の中の心地よさ」は、暮らしの中心にあると気づかされます。
光の取り入れ方や家具や食器の選び方など、どれも特別ではないのに、日常をちょっと豊かにしてくれる知恵ばかり。
コラムでも北欧の暮らしの視点で、収納やインテリアを通して「心地よさ」をお届けしてきました。
今回はこれまでの総集編として、「心地よい家をつくるヒント」を改めてまとめます。

北欧のクリスマスで感じた家で過ごす豊かさ

北欧のクリスマスシーズンは、街のディスプレイはもちろん素敵ですが、家々の窓辺もまた見どころです。
窓辺にキャンドルや星型のライトを飾り、その窓からあたたかな情景が溢れだすように、寒い夜道を優しく灯します。

クリスマスは大切な人や家族でゆったりと過ごすひととき。
家の中では、生もみの木ツリーがほのかに香り、子どもも大人もクリスマス時間をゆったりと味わいます。
ブランケットにくるまりながらいただく、コーヒーとジンジャークッキー。
キャンドルの揺れる灯りが壁に柔らかな影をつくり、長い冬の夜を穏やかに満たして。
そんな北欧のクリスマスには「家で過ごす時間をどう豊かにするか」という知恵やインテリアの工夫がぎゅっと詰まっています。

暮らしの心地よさは日々の積み重ね

1. ものの居場所があると、人も落ち着く

北欧の家庭のリビングは、友人を招き入れたり、家族が集まる場所。ここはパブリックスペースと捉え、個人のものを出しっぱなしにせず、スッキリ整えておく工夫が見られます。簡単なことですが、まずは、ものの定位置（収納の場所）を決めること。これだけで探し物の時間が減り、心穏やかに過ごせます。

そして手元に置いておきたいものは、見せない収納を取り入れます。扉つきのキャビネットや、放り込むだけでOKのバスケットなど、インテリアに合うデザインにこだわって選んで。家が整うことは、暮らしの土台が整うこと。「出したものは元に戻すこと」この小さな習慣の積み重ねが、日々の心地よさをつくります。

2. 光と余白がつくるやわらかな陰影

北欧の住まいでは、天井照明に頼りすぎず、自然光と調和させながら複数の光源をレイアウトします。
「夜には夜の灯がある」とコペンハーゲン在住のデザイナーから教えてもらった言葉通り、昼間と同じような明るさを求めません。
少し暗いくらいが、かえって落ち着きや会話する時間を育ててくれます。

日本の住まいでも、テーブルランプやフロアライトを足し、そこから生まれる光の陰影で雰囲気を出して。
特に日照時間が短くなる冬の北欧にとって光は、豊かな時間を整えるための大事なエッセンス。

淡いトーンの壁や光を拡散させるようなテキスタイルを合わせて、空間の余白を意識しながら陰影を楽しんで。

3. 特別な日も日常の延長として

北欧のクリスマスは、25日のクリスマス当日だけでなく、アドベント期間を４週間かけてゆっくり楽しみます。
１週間ごとに灯されるアドベントキャンドルを眺めていると、特別な日も暮らしの延長に重ねていくのだと感じます。

そしてこの感覚は、インテリアでも通じる考え方。部屋づくりの工夫は「普段の暮らしをちょっと心地よくするため」にあるということ。
例えば、クリスマスだけでなく季節の移ろいに合わせクッションカバーやブランケット、花器の色を変えてみる。
そんな小さな変化だけで、部屋の空気感はふんわり変わります。
大げさな模様替えではなく、小さな暮らしの変化で整えて。
北欧で出会った人たちのように、季節の気配を丁寧に受けとれるよう、日常インテリアを楽しみたいですね。