「見せる」と「隠す」のバランスでつくる北欧流・美しいリビング収納


暮らしの中心となるリビングは、「見せる」と「隠す」の収納バランスをどう整えるかで、美しさと使いやすさが大きく変わります。
ミニマムで機能的な北欧の住まいには、そんな暮らしを豊かにするヒントがたくさんありました。
今回は「どこを見せて、何を隠すか」という視点から、日本のリビングで取り入れやすい北欧流の整え方を紹介します。
スウェーデンで見た「魅せる」と「隠す」の理想的バランス
スウェーデンで訪れた、倉庫をリノベーションした住まいのリビングは、天井高が3m近くある開放感のある住空間でした。
壁一面には、天井まで届くオープン棚があり、書籍に加えて、家族写真や手作りの雑貨、アートオブジェがテンポよく並んでとても素敵な雰囲気に。
たくさんの物があるのに、雑然と見えないのは余白を残し「見せたいものだけ」を選んでいるから。
この棚全体が空間のアクセントになり、リビングのポイントになっていました。
一方、ソファ横の扉付きキャビネットには、色鉛筆や紙類、ハサミやテープなど子どもの工作で使うものや日常で使う道具類などをまとめて収納。
用途に応じて「見せるゾーン」と「隠すゾーン」を分けることで、部屋全体にゆとりが生まれていました。
モノを押し込みながらキャビネットの扉を閉めた主人が、「こんなもんでしょ」と笑った姿が印象的で、完璧を求めすぎない”スウェーデンのLagom(ほどほど)”の精神がそのまま表れているようでした。
どこ「見せ」なにを「隠す」かを決める3つのポイント
1. 視線が集まる場所こそ「見せ」ポイント


どんな部屋でも、自然と目が向く「視線の通り道」があります。
入口から見える対面やソファに腰掛けたときの視線の先、テレビ背面のような場所がそれにあたります。
こうした位置にディスプレイ棚やオープン棚を配置すると、部屋全体の印象を決めるポイントに。
積極的に飾りたいものは、気持ちが上がるお気に入りの雑貨、装丁が美しい本、グリーンなど「見て心地よいもの」。
反対に、日常的に出し入れがある日用品やコード類が目立つ家電は、視線の届きにくい場所や、扉付き収納へ移動を。
大きな収納家具でも、この考え方を応用し上部と下部は視線が届きにくい場所と捉えて。
中段が最も目につきやすいので、そこを整えると、収納全体の印象が変わります。
視線が集まる場所は見せる場所として際立たせ、隠したいモノは、
①設置場所を考える
②バスケット
でひとまとめにする、もしくは扉のある収納家具で隠す工夫を。
2. 「見せるもの」の基準を決める


心地よい部屋をつくるには、見せるものと隠すものの境界を決めておくことが大事。
「見せてよいもの」は、質感やフォルムなどテイストを揃えて。
本棚なら色味をそろえた背表紙を前に出す、雑貨は素材の近いものをグループにするなど。
このように「見せていい」基準を作っておくと自然と調和し整って見えます。
しかし、暮らしているとどうしても生活感があるモノも必要。
書類・コード類・趣味の道具やおもちゃなど、色も形も揃わない生活感が出るものは、隠す収納へ。
隠す収納では、出し入れしやすい収納の工夫が必要です。
扉の中は、モノの住所を決め、バスケットやボックスにまとめてワンアクションで取り出せるように。
おもちゃには、子どもでもわかりやすいようイラストでラベリングするとスムーズです。
北欧の住まいが心地よく感じるのは、「好きなものは見せて、嫌いなものは隠す」という明確な基準があるから。家族で基準やルールを決めて共有すれば、暮らしはぐっと軽やかになります。
3. 色・素材・余白を整えてまとめる


ステキだと感じる北欧インテリアは、色と素材の統一感、そして余白の取り方が上手という共通点があります。
自然と共存する文化がある北欧では、とにかく住まいでも自然素材が好まれ、調和と安らぎがある空間に。
日本の住宅も木素材を多く使うため、オープン棚には、木・ガラス・石、陶器など自然素材のものを飾ると、調和して落ち着いた印象に。
隠す収納では、収納家具や収納道具の色味を壁や床に近いトーンにすると、雑多さを防ぎ空間に馴染みやすいです。
そして空間を広くスッキリ見せる最大のポイントは、荷物を床に直置きしないことです。
床の平面をなるべく広く見えるようにするだけで部屋の印象は軽やかになります。
ソファなどの大きな家具は脚付きのデザインを選ぶと、抜け感が生まれ掃除もしやすくおすすめ。
ただし、家具下のスペースにモノを押し込むのはNG。
生活感が一気に出てしまいます。
掃除がしやすい住空間は、美しさをキープしやすく気持ちをポジティブにします。
まとめ


「見せる」と「隠す」のバランスが整うと、リビングは自然と心地よく、キレイな状態が続きます。
視線が集まる場所には飾る収納、生活感の出るものは扉の中へ。
基本を押さえて、無理なく続けられるスタイルに。
完璧を求めすぎず、“ちょうどよい心地よさ”を大切にするのが北欧流。
ぜひ自宅でも、シンプルで続けやすい美しいリビング収納を取り入れて。
心地よい暮らし・ライタープロフィール


新倉暁子(ニイクラアキコ)
インテリアコーディネーター・北欧ライフスタイル研究家・整理収納アドバイザー。
住空間を整える時”どんな暮らしがしたいのか”思考の整理が大切だと考える。
幸福度の高い北欧視察をきっかけに、北欧ライフスタイルから片付け収納に至るまで「ここちよい暮らし」を発信している。
「片付けられない女」の経験を活かした片付け講座、個人向け片付けサポート、コラム執筆、イベント企画等をおこなっている。
東京都内在住、夫と子供とワンコのマンション暮らし。
■HP
http://studio-cozy-home.com
■ブログ「北欧×片付けLAGOM私が決めるライフスタイル」
https://ameblo.jp/dear0412
■note
https://note.com/lagomstyle
■インスタグラム
https://www.instagram.com/studio.cozy.home
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